かなしいうた。

2002年6月27日
その場にいた誰もが、「えっ」っていう顔をする瞬間に何度かでくわした事がある。
きっとその時は私もそういう顔をしているのだ。
そして、今日はそんな瞬間に立ち会った、数少ない日だった。

その知らせを聞いたとき、その場にいた誰もが言葉を失っていた。
泣き崩れているKさんをなぐさめる者もいなかった。
しばらくして、私は「えっ?」と聞き返し事情を確かめた。
同じような経験を何度かしたことがある。
同僚に、近親者の訃報が入ったときである。
私はたしかその時「今すぐ帰りなさい」と言ったと思う。
でも今日は訃報ではなかったし、誰も、今すぐ帰る必要がなかった。
だから、全員呆然としながら仕事をした。

午後7時過ぎ、Kさんと数名がこの出来事について話し合う。
午後8時、Kさんと数名がでかける準備をはじめた。
私は、別行動をとることを彼らに告げた。
午後8時過ぎ、
何も知らない上司が、残業している私たちにたいやきを買ってきてくれた。
そんなことをしてくれたのは初めてだった。
車の迎えがきていた。

私はでかけるKさんと数名を、霧雨の中たいやきを食べながら見送った。
たいやきはまだあったかかった。

ねぇ。
かなしいね。
わたしに出来ることってなんだろうね?
そもそも私に出来ることなんてあるのかね?

昼休み、私は隣の席の子にそう言った。
隣の席の彼女は言った。
「私なら、薫子さんがきてくれたらきっとうれしい」

私は頷いた。
「そうだね……私でもそう思うかな」

こういうときこそ、大事にしたいと思う。
いろんなこと。
いろんなものを。

歩いた。
そういえばこういうときっていつも同じ事を考えているな、と思いながら。

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